第4章:前が見えない!

阿寒湖の天気は変わりやすい。
朝から青空が広がっていたのだが、気付くと雪が舞い始めてきた。
追い風に乗せて、降ってきたパウダースノーと一緒にリンクを駆け抜けていく。
雲も出てきた。
荒れそうな雰囲気になってきた。
ここは2kmをしばらく過ぎた地点、もうすぐ向かい風のルートに変わる。

案の定、天候は荒れた。地吹雪である。
吹き付ける雪で目も開けていられない。
スキー用のゴーグルを宿に置き去りだったことを思い出した。
指で目を塞いで隙間から覗く。
この姿勢はかなり辛い。
時にはバック滑走で凌ぐ。
しかしこの地点はクラックが多く、足を取られて長くは続かない。
とにかくサービスポイントまで行こう。
ひたすら吹雪との戦いである。

やっとの思いでたどり着く。
コンソメスープが何よりもおいしい。
コースを振り返ると、そこはまるで風洞実験室。
雪の舞い方が風の凄さを物語る。
霞の彼方から参加者達が次々とやってくる。
あの中を私も滑って来たわけだ。
風が止むまで休んでいたいところだが、吹雪もピークを過ぎたようだし、
もう少し進んでスタンプポイントの手前のカーブまで行けば追い風に変わる。
天候も回復の兆しを見せてきた。そろそろ行こう。
さっきよりだいぶ軽くなった足取りで踏み出す。
サービスポイントのスープに加え、元気の素はスタンプポイントにもある。
カードにスタンプを押してくれる時、スタッフがかけてくれる何気ない言葉...。
思わず「行ってきま〜す!」と言いたくなる。


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